3  新たなる相棒 西表島 

4月1日

 もう帰っちゃうの?もうちょっと沖縄にいればいいのに。今日は4月バカだしウソもよしこさん!なんていっても、いつものように朝おそく起きたらもう貧さんはとっくに出発して名古屋行きの飛龍で東京へ帰ってしまった。

 好奇心でギラギラしたわがままな私と貧さんとは道中でいろいろもめたりもしたけど、いざ過ぎればああまた一人ぼっちか。さみしいのう。今思うと港まで見送っても良かったわいな。

 さあ、私の放浪の旅はこれからだ!

 今日は石垣島最北端の平久保岬へ行く。別に南の島の最北端なんてたいしたことないのに、何故かレンタカーの観光客が多い。なんだかんだ言ってもやっぱり日本人も暇になってきたんだな(笑)

4月3日

 図書館やメディアセンターでインターネットができるが、ぼくらの掲示版を見るとカソリサンの書き込みには、「4月13日、名古屋港発の有村産業の「飛龍」で八重山諸島の石垣島に向かいます。残念ながら今回は宮古諸島は諦めることにしました。■アフロあきらさんへ  ということで、名古屋から直接、石垣に向かいます。」

 嗚呼なんということか!晴天の霹靂!!これで南国指令カソリvsアフロも大幅変更! だからと言ってずっと石垣で待ち続けるのもねえ・・これからどうしようか・・・これには本当にガックリした。このまま順調にいけば宮古島でもう一度会う事が出来たのに。

4月4日

 そのため、物事も人付き合いもうまくいかず、とても機嫌が悪かった。それらスランプを晴らすためシュノーケルを600円でレンタルして石垣島北側の米原の海に潜ってみると、きれいなさんご礁やカラフルな熱帯魚を見ることが出来て、熱帯魚の水槽の中を泳ぐ気分で本当に感動!

 泳ぎながら海底のさんご礁や熱帯魚を見下ろすと、まるで自分が龍宮城の海をスーパーマンになって飛んでいる気分(笑)で、今までの世界にない別の世界、新たな世界を発見した。

 おかげで迷うことなく石垣島のディスカウントショップ・メイクマンでシュノーケルセット(2400円)を買った。4回潜れば元取れるし。それ以来新たな楽しみが一つ増えて、毎日のようにさんご礁の海に潜る事になった。

 これから沖縄に行く人は是非海に潜りましょう。

4月5日
 かそりさんをもう一度渡りゆさんと共に迎えるためにも、インターネットにかじりつき、フェリーの日程とにらめっこしながらぼくらの掲示版を見た。

 だけど離島航路はJRや空路と違って便数が極端に少ないので自分の思う様にスケジュールが決まらない!!という事でカソリサンとはどこで会えるかはもう私にもわからなくなった。もうお手上げ。あまりにもくやしい。

4月6日

 今日は野生的な自然の残る西表島に行く。フェリーかりゆしに乗ると、なんと乗客はみんな女!バックパッカ−の日本人オネーチャン二人と、よく日に焼けた女子中学生二人、中年女性一人。西表の北にある上原港行きなので南側の大原港と違って船代が余計にかかるため、バイクは私のが一台だけだった。

 そして面白いのが船長。星一徹のようないかつい船長だが、なんと出港前や航海途中に三味線を引きながら島唄を唄っていた。すっかり南国になったところで鳩間島に寄港。人口50人ほどの小さな島だが、女らはみんな降りていく。島中の人が港に集まって物資を陸揚げしたりした。

 20分後、再び鳩間港から出港して西表島についた。

 星の砂キャンプ場では、渡り湯さんが待っていたので早速隣にテントを張る。

 夜になると、早速キャンプ場のみんなが集まってきた。色白だがメガネをかけインディアンのような三つ編みの女性オフロードライダーのテントにみんなが囲む。

 その彼女は26歳、ワイルドで百戦錬磨のカリスマ的ツーリング女王といった風格。清楚で教育ママ風の見かけによらず虫なんかも平気で触ったりするようなわんぱくな女だ。ギターも弾けるのだが、最新のJ−POP弾けるのと聞いたら、「弾けるわけないでしょ!!」といって古い歌やフォークソングなどを弾く、味のある女だ。

 一方、渡り湯さんはなんとピアニカ(小学校の音楽で使う鍵盤ハーモニカ)を吹いていた!退屈しのぎに松山市の自宅から妻にわざわざ送ってもらったのだ。なんとも若い頃キャバレーでピアノを演奏していたこともあるからかなりすごい人だった

4月7日

 西表島は面積が石垣島より大きいのに人口はたった2000人なので、道路も北海道のように走りやすい。(とはいえどなぜか全島制限速度40キロだが)というか牧場のあるあたりは北海道そっくりだ。最果てゆえなのか共通しており不思議なものである。

 西表は移住者によって開拓されて、最近は若年者の移住も多いため、他の先島諸島の島々と違ってどこか開放的な感じで、小笠原のような雰囲気(行った事はないが)といったところか

 さとうきび畑では意外にも北海道から働きに来る人が多い。雪と寒さで閉ざされた北から、南の海と太陽を求めて沖縄に出かせぎに行くという。

 だが、ある畑を見ると、現地人や旅人、北海道人にまじってなんと全身と顔が真赤に焼けた白人の姿が。ヒッピーなのだろうけど、赤く焼けた姿が痛々しい。

 星の砂のビーチで渡り湯さんとシュノーケリング。彼は台湾の蘭島民のように銛を持って魚を捕まえようとするのだけど、熱帯魚に銛が見つかったとたん逃げられてしまうので捕まえるのが至難の業。

 ここのビーチもなかなかさんご礁が深くなったりして面白い。そしてきれいだ。

4月8日

 今日石垣島に帰る。行きのと同じフェリーかりゆしで戻るのだが、今度はバイクが6台!そして名産品の黒砂糖を全て期限内に送り出す為、なんと1時間20分も出港が遅れた。嗚呼これぞ沖縄時間。船にはパレットにつまれた製品化された黒砂糖の箱で半分近く占められていた。

4月9日

 またもや渡りゆさんは先に宮古島に行ってしまった。シュノーケリングしようにも、今日は天気が悪いのでおとなしくキャンプ場でリヤタイヤ交換。2時間10分もかかってしまった






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